当店のらんちゅうの繁殖について簡単に紹介をします。
今後もっと具体的にしていく予定ですが、今回は実際販売を行った「くろこ」までの
流れを紹介したいと思います。

1.当店のらんちゅう

     
   
    こちらは当店の水槽(たたき池)の一部です。
水は、井戸水を使っています。
二日から三日に一度、水槽の半分ほど水を
交換します。

また、当店では左のような親魚を種として使います。
これらの親魚の交配を状況によって考えて、
種付けをします。 (左列が雄、右列が雌です。)

※親魚の写真をクリックして頂くと、別ウインドウで拡大表示します。
※当店の飼育場を見学したいというお声がありますが、残念ですがお応えできませんのでご了承ください。


2.交配

1.冬眠から親魚を起こします。
  早い時期に子を取りたいときは2月、通常は3月頃に親魚達を起こします。
  このとき、雄と雌は別々の水槽に分けてあります。  
2.交配準備
  雌の親魚のおなかに卵ができ、もうすぐ産卵するという時に、交配を始めます。
  (おなかをさわってプニプニしたら産卵できるじょうたいです。だいたい耳たぶくらいです。)
  繁殖用の水槽に親魚を移す段階も、愛好家それぞれで順番が異なるのですが、
  私は雌を先にいれます。
  そして2〜3日泳がせ、環境に慣れながら活発化させます。
3.交配
  時期を見計らい、雄を雌のいる水槽に移します。
  らんちゅう愛好家の中には、雄:雌が1:3など雄の数を増やされる方もいますが、
  当店の基本交配は1:1で行っています。
  状況によっては人工授精も行っていきます。
  当店では時期をずらして何回か繁殖しています。
  そのように時期が異なる繁殖を『第一弾』『第二弾』というように表現をしています。


3.稚魚

  稚魚が生まれました。
餌は主に、シュリンプを与えます。
だいたい1センチくらいになってから、ハネを行います。


4.ハネ

  稚魚を白い洗面器などに取り出しハネを行います。

ハネとは良質な稚魚を残すための選別のことです。


左上はハネを行う前、左下はハネを行った後です。


この大きさでのハネは、主に尾の部分を中心に見ながら
ハネを行っていきます。
さし、ひねり、ふななど、不良になる稚魚をハネていきます。


さし…尾芯が尾筒まで差し込んでいる状態。
ひねり…左右のバランスが対称でない状態。
ふな… 尾が開かず、ふなのように一本になっている状態。 


5.くろこ

 
ハネを数回行った後、上の写真のようなくろこに成長します。
ここから「くろこ大販売用」「当歳魚販売用」の分を取り分けて、くろこ販売を実施していきます。
異なる時期の販売に対して、質を落とさないために、全てその後も同様のハネを行っていきます。 


6.くろこの成長

     
1.大きさ5センチほどです。   2.半分ほど色が変化しました。   3.ほとんど黒が抜けました。

くろこが5センチほどに大きくなると、色が変化していきます。
写真1のくろこから写真2のように半分ほど色が変化したものを『とらっぱげ』ともいいます。
写真3のように黒い色がなくなってからだんだんと色がついていきます。

育て方、水槽の状態によっては、小さい状態から色が変化したり、
大きくなっても黒いままの場合もあります。
育ち方もまちまちで、水槽が小さい、匹数が多すぎ・少なすぎ、水温が低いなどが原因でも
なかなか育ちません。

「くろこ大販売」では、この成長の変化をお楽しみできるように考えております。

7.色替りらんちゅう

くろこの色がなくなり、しばらくすると左の写真のように赤い色が付いてきます。
このような状態になったところで、素赤(ほとんど体全体が赤いもの)、更紗(赤と白の模様が入っているもの)、白(ほとんど全体が白いもの)など、どのようならんちゅうになるかが分かってきます。
ちなみに赤の強いものを赤勝更紗、白の強いものを白勝更紗とも呼びます。
このらんちゅうがさらに成長すると、変化した色の部分が鮮明になってきます。

その後10日前後経過したらんちゅうが右の写真です。
今年の場合、大分暖かくなってきましたので、成長がとても早くなってきています。また、個体差も出てきます。
成長の段階で色がとんでしまうらんちゅうもいます。
このらんちゅうがもう少し成長した段階で本格的な『つくり』を始めていきます。
つくりについては「らんちゅうのつくり」のページを用意しましたので、ご覧下さい。

当店では、このような状態になったところで色替りらんちゅうの販売を始めます。
ここまで残ったらんちゅうはかなりハネを行いながら残ったらんちゅうですが、個体売りのものと比べると若干あまりらんちゅうを観賞用としても販売していきます。
また、その中でも体の大きいらんちゅうは、親魚にも適していますので、親魚用として販売していきます。