■らんちゅうの育て方

らんちゅうは、皆さんの心を和ませてくれるかわいらしいペットです。
しかし、らんちゅうは非常にデリケートな魚です。ストレスを感じさせないような環境作りをしてあげてかわいがって下さい。

1.目安となる水槽内のらんちゅうの数

飼育水量は約40L(600mm×300mm)水槽につき当歳魚なら3~5匹、2歳魚なら2~3匹程度
※エアレーションや、ろ過装置を使って、水槽に酸素を送ります。(観賞用ガラス水槽の場合)
※魚(当歳、2歳、親)を育てる場合、ガラス水槽の中でもできますが、特徴を出すためには、たたき池、または、FRP類の容器を使用し、野外での飼育をお勧めいたします。   
※水槽・飼育器具を清潔にすること。
他の魚・亀等を飼育していた水槽・飼育器具を使う場合、必ず塩素洗剤(キッチンハイター等)で、消毒洗浄し、2~3日、天日干しする必要があります。(病原菌対策のため)
※らんちゅう以外の魚と、同じ水槽で飼育しないこと。

2.餌の与え方

※餌は、朝、午後の2回程度とします。(15時以降は避けましょう)
※11月~4月中旬の水温が低い時期(水温が12度以下の冬場春先等)は餌を与えないようにして下さい。
※4月~6月(梅雨時)の朝・夜の温度差が激しい時期は・餌の量・回数を控えて下さい。
らんちゅうは1日の水温が急激に低くなる(7℃以上の低下)と消化不良を起こす為、上の2つの時期には餌を与える量に注意すること。また、餌のやり過ぎや水質の悪化は、らんちゅうの死因や病気にもつながりますので、ご注意ください。
真夏の水温は、飼育場所によっては、30度を超えることがふえます。日中の気温の高くなる時間帯の与餌は、避けて下さい。

3.らんちゅう運搬時における注意点

※運搬の時、らんちゅうは疲れて到着します。まずは、魚を休ませるのが大事です。
※ビニール袋の水の温度を守り、ビニール袋の水を割り水します。この時、魚を休ませます。約1週間程度とします。
また、夕方に魚が到着したら、夜は温度が下がりますので、ヒー タ ーを使い、温度を一定にして下さい。
また、餌はらんちゅう到着後、3~4日経過してから少しずつ与えて下さい。
(体調が今1つの場合は、餌を控え、塩水0.5%で様子を見る)

■らんちゅう到着後の育て方

 らんちゅうは配送のため、疲れた状態でお客様の手元に到着します。到着後、安全に飼育するため、最適な環境作りを心がけて下さい。

1.水作り

らんちゅう到着日の2日ほど前に飼育用水槽に水道水を入れカルキ抜きを行って下さい。
この時点で、エアーポンプをセットし、水中へ充分な酸素を送ります。
到着後、0.5%濃度の塩水で3,4日泳がせても良いでしょう。
※水1リットルに対して塩5グラム

2.らんちゅうが到着

魚の入った袋のまま飼育水槽へ20~30分浮かべ、袋の水と水槽の水の温度差を近づけます。(1度以内がベストです)
※急な水温変化で体調を崩しやすい為。

3.らんちゅうを飼育水槽へ

水温差がなくなったら、水槽の新水をビニール袋の中の水へ少しずつブレンドするように入れて下さい。
約5~10分後、袋の中の水と魚を飼育水槽へ移して下さい。

4.到着後の餌やり

到着後の餌やりは、らんちゅうの体調を見ながら判断しますが、目安として到着日より3,4日目から、朝一度だけ少しずつ与えていきます。餌のやり過ぎは禁物です。しばらくの間、午前中のみの餌やりで十分です。

5.その後の水質管理

自然水温がベストですが、ヒーター使用の場合は、15~25度が良いでしょう。
より正確な水温を測るため、デジタル水温計を使用するとより良いです。
      夏:水温32度以上になったら餌は控えます。
晩秋~早春:水温12度以下で餌止め。昼間など15度以上で少し与えます。
        屋外での飼育の場合、冬眠の時期には餌を与えないようにして下さい。

  

■らんちゅうの病気

らんちゅうが病気になる原因は、水質の悪化によるものが多くです。
「めんどくさいから水替えるの明日にしよっと。」なんて水替えを怠ってしまうと大変なことになってしまいます。
餌の与え過ぎにより水質が悪化してのエラ病、他の魚を混ぜたり、水感染によるエラ病、低温による白点病など があります。
このような時、どのように対応していくのか、薬の使い方に注意しながら早期対処し、らんちゅうを病気から救いましょう。

1.白点病

体に白い粒状の白点が出てきます。そして、白点が次第に体全体に広がります。
伝染力が非常に強いため混泳している魚全てに投与して下さい。
①飼育水の水量に対して0.5%の塩を飼育水に添付する。
②グリーンF、マカライトグリーン等の投与。
③飼育水の水温を25℃~30℃にする。
 ※水温を上げる際はいきなり上げるのではなく徐々に上げるようにし魚に負担がかからないようにする。

2.尾ぐされ病

尾びれ、胸びれ、背びれの先が白くなり、悪化すると腐ったようにボロボロにちぎれてきます。
①水替えをし、飼育水に対して塩を0.5%~0.7%を添付する。十分に酸素を送って下さい。
②グリーンFゴールド、またはエルバージュを使います。使用量は、注意書きに従ってご使用下さい。

3.エラ病(鰓腐病)

鰓が白くなりえらふたが膨れたり、閉じたまま、開いたままになります。
また、魚の動きが鈍くなり、群れから外れます。らんちゅうの病気の殆どがこのエラ病です。病気の発見が遅れると簡単には治りません。
早期発見がこの病気の早期解決です。薬は常備するとよいでしょう。
①水替えをし、飼育水に対して塩を0.5~0.7%を添付。基本として0.5%濃度での治療で充分です。ただし、病状が初期のみ。
②エルバージュ、パラザンD等の投与。

4.黒斑病

体や鰭が黒くなります。冬眠させたり、白雲病完治直後に見られます。人間で言う風邪に似ています。
①特に治療はしなくても、冬眠から目が覚め、体力が戻り次第、だんだんと元に戻ります。
②メチレンブルーの投与。(さほど必要ではないです。)

5.赤斑病

体が粘液の分泌物で白くなり、だんだんと赤くなります。   ひどくなると、鱗が剥げ、肌がただれ、出血します。
①水替えをし、飼育水に対して塩を0.5~0.7%を添付。基本として0.5%濃度での治療で充分です。ただし、病状が初期のみ。
②エルバージュ、パラザンD等の投与。

6.白雲病

体や鰭に白い雲状のものが見られます。体を壁などにこすりつける動作をしたり、動かなくなります。
①水替えをし、飼育水に対して塩を0.5~0.7%を添付する。十分なエアレーションを行う。
②グリーンFゴールド、メチレンブルー等の投与。

7.穴あき病

傷口よりエロモナス菌が侵入し、傷口部分に赤い斑点が出てきます。
その斑点が大きくなり、鱗がはげ、えぐれたようになります。
傷口の早期治療が感染を防ぎます。
①水替えをし、飼育水に対して塩を0.5~0.7%を添付する。十分なエアレーションを行う。
②グリーンFゴールド、パラザンD、エルバージュを使います。

8.松かさ病

鱗が立って、だんだんと体がふくれてきます。
①餌を抜く。飼育水の水量に対して0.5%を添付し、治らなければ徐々に1.0%まで濃度をあげる。
②グリーンFゴールド、パラザンD、エルバージュを使います。

9.水カビ病

白い綿のようなカビが付着します。体力回復とともに治りますが、カビの付着が増え、死に至る事もあります。
①水替えをし、飼育水に対して塩を0.5~0.7%を添付する。十分なエアレーションを行う。
②グリーンFゴールド、メチレンブルー等の投与。

10.ヘルペス

感染した魚は4~6日で突然しんでしまう。
致死率・伝染力が異常に強く、1週間程で飼育魚のほぼ全てを失う事になる。
貧血によって体力が衰え、混合感染が生じやすくなります。
混合感染が生じた場合は疾患に応じた症状が見られ、これによってヘルペスウイルスに感染したと判明する事も多い。
①必ず絶食。水替えをし、飼育水に対して塩を0.5~0.7%を添付する。十分なエアレーションを行う。
②水10Lにイソジン4~5滴を使う。

11.ウオジラミ病

初期の段階では、鰭や鰓にウオジラミがつく事が多く、体部にはあまり付きません。
刺したあごから毒素を出し、皮膚に軽い炎症(痒み)を生じさせるので、魚体を壁に擦りつけながら泳ぎます。
末期になると、全身に寄生し、衰弱死します。
①ピンセットでウオジラミを除去。
②動きが悪い場合絶餌を抜く。水替えをし、飼育水に対して塩を0.5~0.7%を添付する。十分なエアレーションを行う。
③リフィッシュの投与。

12.イカリムシ(エピスチリス)病

初期は、鰓や体表の柔らかい部位に付着した後、イカリ型の頭部を体に突き刺し、吸血するので、患部が痒くなり、
体を壁に擦りつけながら泳ぎます。
イカリムシは見えなくても、白く盛り上がった部位や赤くなった部位に隠れている場合があるので注意して探して下さい。
進行すると全身いたる所に寄生し、衰弱死します。
①ピンセットでイカリムシを除去。
②動きが悪い場合餌を抜く。水替えをし、飼育水に対して塩を0.5~0.7%を添付する。十分なエアレーションを行う。
③リフィッシュの投与

13.ツリガネムシ病

軽症なら鱗に米粒大のエピスチリスの群体が1~2ヵ所生じます。
水カビ病の様とは違い、菌糸はさほど長くないのでそこで区別します。末期には、白点が次第に拡大し、着性している部分の皮膚が充血して発赤します。
さらに、その部分の鱗が立ち、剥がれて潰瘍となる為、穴あき病の様になります。
また、この時期になると体を壁に擦り付けながら泳ぎます。
末期には食欲の低下等によって衰弱死します。
①メチレンブルーを白点部に十分にすり込み青く染色させる。
②動きが悪い場合餌を抜く。水替えをし、飼育水に対して塩を0.5~0.7%を添付する。十分なエアレーションを行う。 
※水が腐った感じの匂いならば、毎日でも水替えをすること。


私も、大会での入賞を目指してらんちゅうを創ってます。
大会は、らんちゅうを飼う醍醐味の一つですが、らんちゅうを可愛がれないなら、育てていくのも難しいですよね。

らんちゅうは、犬や猫みたいに懐いてくれなくても、愛情込めて育てれば形で答えて(懐いて)くれます。
らんちゅうが懐いてくれるには、まずは基本を学ばなければいけません。
そして病気の対処法を知る前に、病気にかからないような環境を作ってあげたいと思いますよね。
可愛がるということは、手間をかけることでもあって、手間がかかる子ほど可愛い・・・って人間の子供と同じです☆

皆さんも、愛情込めてらんちゅうを育てていってほしいなと思い、このこのページを書きました。
参考になればと思います。