『つくり』は、らんちゅう職人が長い間をかけての経験や経験を元に身につけていくものなので、なかなか教えることができませんが、一般的な『つくり』を行う際の一部を紹介したいと思います。


1.頭のつくり方

頭の創りは、「くろこ」のときの育て方によって決まってきます。
最も重要なのは系統ですが、発達を促進するための飼育を行わなければ、系統通りに成長してくれません。
・魚の運動量を抑えながら、十分に餌を与える。
・新水を使う。


2.大きさ(幅)

くろこのときにしっかりとした骨格形成を行うことが重要です。
餌を十分に与えれば大きくなりますが、与えすぎると尾や長さに影響が出てきます。
この点を注意し、バランスのよい状態にします。
また、水槽が小さいと成長がほとんど止まってしまいます。
実験的に1センチのくろこを熱帯魚と一緒に育ててみたところ、3ヶ月経ってもまだ2センチくらいにしか成長しませんでした。
・餌を十分に与える。(尾に影響)
・水槽の中の匹数を増やす。(長さに影響)
・運動量を抑える。
どうしても大きくなってほしいらんちゅうがいる場合は、小さめのらんちゅうを『おとも』につけて、
水槽の「ボス」として育てるというような方法もあります。
また、どうしても餌をたくさん食べてほしいときは、口から押し込む場合もあります。


3.背のつくり方

背は水深や運動量によって変化するものとも言われていますが、さほど効果的なものはありません。
くぼみも数年すれば埋まるものもありますし、そのまま直らないものもあります。
やはり遺伝が一番重要と言えます。
・丸くしたい場合は水を深くする。
・なだらかにしたい場合は水を浅くする。


4.尾のつくり方

尾をつくるのと健康ならんちゅうを育てることは、真逆の飼育をすることになります。
尾芯は水の深さを深くすると立ってきます。
倒すにはその逆です。
また尾張を緩めるには以下の方法があります。
・強いエアレーションを使う。
・新水を使う。
・運動量を増やす。
・日に当てない。
・水槽の中の匹数をやや減らす。


このようにらんちゅうをつくっていますが、やはり長年の経験が必要になってきます。
らんちゅう会等に入って仲間を見つけたり、師匠をみつけて飼育を行っていかないとなかなか上達していかないかもしれません。
また品評会等で目を養うことも必要になると思います。
飼育にあたり、様々なことが起こります。
病気にかかって全滅の恐れもあります。
そのような時のことも考えて、仲間同士で種を交換しておく、というようなこともされています。
そして様々な方が『究極』を目指して『つくり』を行っています。
当店も実際は究極を目指しすぎて、らんちゅうを死なせてしまうこともありますが、今以上の究極を目指し、らんちゅう創りをしていきたいと思っています。